2013年12月19日木曜日

FRBの量的緩和縮小がTPP交渉を前進させるか。

https://surouninja.blogspot.com/2013/12/reduction-of-quantitative-easing-to-advance-the-tpp-negotiations.html
FRBは18日に開かれたFOMCで、来年1月(2014年1月)からの量的緩和の縮小を遂に決定したようである。

米FRB、量的金融緩和の縮小を決定 来年1月から

朝日新聞デジタル 12月19日(木)4時9分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131219-00000006-asahi-bus_all

 【ワシントン=五十嵐大介】米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は18日、景気を刺激するために市場に大量のお金を流す「量的金融緩和」の縮小を決めた。2008年秋の金融危機後、断続的に進めてきた巨額の米国の量的緩和が「出口」に向かって動き出した。

 FRBは昨年9月に「量的緩和第3弾(QE3)」を開始。現在は毎月、米長期国債を450億ドル(4・7兆円)分、住宅ローン担保証券(MBS)を400億ドル(4・2兆円)分、合計850億ドル分の金融資産を市場から買い上げ、大量のお金を流している。

 18日の会合では、来年1月から、米国債の毎月の購入額を50億ドル少ない400億ドルに、MBSの購入額も50億ドル少ない350億ドルに減らすことを決めた。毎月の合計の購入額は、100億ドル分少ない750億ドルに縮小することになる。

これを受けて、ドル円は急上昇。1ドル104円を突破したことで、日経平均株価も寄付きから大幅に上昇し、現在は15,845.15(+257.35)と大幅高のまま推移している。

とは言え、FRBの今回の決定は、飽くまでも“量的緩和の縮小”である。つまり、アクセルを少し緩めるだけの話であって、ブレーキを踏むという話ではない。米国内の景気(特に雇用と物価水準)が弱まるようであれば、FRBは再びアクセルを深く踏み込む構えも崩していない。

ただし注意しなければならないのは、FRBが政策決定に注目しているのは、飽くまでも米国内の景気であって、他国の景気などは知ったことではないということである。(参考:新興国の懸念を他所に我が道を行くFRB。2013年8月26日月曜日)

今後は“強いドル”の傾向が今まで以上に加速すると思うが、それに反比例するように新興国からは資金が逃避するだろう。そして、それに伴ってそれらの国々ではドル不足が発生し、場合によっては通貨危機の発生する虞れ(おそれ)すらあろう。反米カルトな連中が「米国デフォルト危機でドルが紙屑に!」などと喚いているわけだが、このような状況でドルが紙屑になることなど到底有り得まい。それどころか寧ろ、今後は世界(特に新興国)がこれまで以上にドルを欲するようにすらなるだろう。

さて、日本経済への影響だが、今後TPPなどで米英との関係を強化していくうちは問題ないだろう。“強いドル”は日本の国益にも資するのである。

ただ、日本が経済面で関与しようとしている、インドネシアのような金融危機に脆弱な国は、経済的被害を免れないかも知れない。近い将来、同国経済を日本が金融面で救済しなければならない局面も出てきそうな雰囲気である。まぁ、そこら辺については、日本は来るべき時に備えているようではあるが。その見返りとして日本はインドネシアの天然ガスを輸入すれば良いだろう。同国の天然ガスは、エネルギー安全保障におけるリスク分散先の一つとしては非常に魅力である。(参考:インドネシア:経済危機回避は絶望的か。2013年11月20日水曜日)

一方、中国に擦り寄った韓国は、日韓通貨スワップ協定の終了なども相俟って、この潮流(米国への資金還流)で致命的なダメージを受けることになるのではないかと見ている。(参考:日本が期限到来の日韓通貨スワップの一部延長を見送る一方で、韓国中銀は中韓通貨スワップ協定を3年延長、規模拡大も。2013年6月28日金曜日)

このFRBの緩和縮小は、TPP交渉を前進させる決定的な材料となるかも知れない。

【関連リンク】
FRBの量的緩和“年内縮小”発言を受けて、案の定、新興国から米国へ資金が還流している様だね。2013年7月6日土曜日

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