2015年9月24日木曜日

フォルクスワーゲンショックが誘うFCV普及と水素社会

https://surouninja.blogspot.com/2015/09/Volkswagen-shock-might-lead-the-world-to-Hydrogen-society.html
独自動車メーカー大手「フォルクスワーゲン」(VW)の排ガス規制逃れの不正が発覚したことで巨額の賠償金や罰金などが予想される中、同社の株価も連日の大暴落が続いている。現在のVW社(symbol:VOW)の株価は111.50と、今年4月に付けた253の半値以下となっている。

参考:
2015年9月22日火曜日
VW:独大手自動車メーカー「フォルクスワーゲン」、前代未聞の米排ガス規制逃れ詐欺が発覚し株価大暴落。クリーンディーゼル車の信用失墜で倒産にも現実味

VW社がこのまま何らかのウルトラC的な打開策でも打ち出せなければ、同社はこのまま倒産してしまう可能性も十分に考えられるだろう。どんなに罰金や賠償金を支払えたところで、信用が失墜してしまった今となっては、同社の自動車が今後もこれまでと同じように売れるとは考え難いからだ。

VW社が今後生き残れる手段があるとすれば、おそらくそれは燃料電池車(FCV)への参入ぐらいではないだろうか。

FCVへの参入と言っても、VW社はFCVの技術を保有していないため、トヨタ(BMW)かホンダ(GM)から提供してもらうしか無いだろう。どちらにしても今後、時代の変化についていけなくなるであろう世界第二位の自動車メーカーVW社は世界での競争から脱落することになるだろう。

FCVを全否定していたVW日本法人の前社長の庄司氏が今年、任期途中で電撃的に辞任したのも、実はこの辺に理由があったのかもしれない。そして、今回のVWの詐欺発覚で、燃料電池普及(水素社会構築)に後ろ向きなVWに対するトドメを刺したのではないだろうか。その主語は、言うまでもなく“米国”(と日本)だろう。

参考:
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NBF8SF6JTSEE01.html
燃料電池車、日本以外での普及は難しい-VW日本法人社長
2014/09/08 16:25 JST

  9月8日(ブルームバーグ):世界販売で首位のトヨタ自動車 に迫る独フォルクスワーゲン(VW )は、水素燃料電池車(FCV)普及の波が日本市場から海外に広がるのは困難とみている。

日本ではFCV普及に向け、政府も購入者に対して手厚い補助金で支援する方針だが、他の国々がそこまでするのは難しいだろうと、VWグループ日本法人社長の庄司茂氏はインタビューで話した。日本ですら燃料水素の補給は難しい問題であり、水素の扱いが面倒なことやインフラ整備にコストがかかると指摘した。

「FCVは日本国内で順調に普及するかもしれないが、世界的にみるとそうはならない」庄司氏は話した。日本企業が自国でのみ普及する商品を製造し独自の進化を遂げる現象を「ガラパゴス症候群」と呼ぶが、FCVはその事例になるかもしれないと指摘した。
 ↓
http://autoc-one.jp/news/2288172/
2015年8月3日
VW日本の庄司茂社長が突然の辞任

フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、2015年7月31日付で代表取締役社長である庄司 茂氏が退任する人事を決定したことを発表した。

庄司氏は、2012年6月にフォルクスワーゲンAGに入社し、同年8月にフォルクスワーゲン グループ ジャパンの代表取締役社長および最高経営責任者に就任した。今回、庄司氏本人の意向により、退任する運びとなったという。

先日、スズキの鈴木修社長がVWから自社株を買い取ることを表明し、VW社との関係を清算すると発表したことのタイミングから考えても、色々と想像はできよう。

今後TPPが施行されれば、日米はFCVと水素技術を囲い込んで世界経済を制していくのではないかと見ている。

FCVは、燃料となる水素生成から水素供給インフラまで経済への影響範囲が広範囲となる。FCVの普及は新たな経済構造を生み出し、社会も激変させる可能性が高い。

最近の原油価格暴落で苦しんでいるオイルメジャーだが、彼らも石油やガスから生成して付加価値を付けて販売できる“水素”はビジネスチャンスと捉えていることだろう。水素というのはオイルメジャーにとってもまさに“救世主”なのだ。ちなみに日本では、水素の販売価格を1000円/kgで決定している。石油精製工場などから出るタダ同然の副生水素を売れるとなれば、彼らもガソリン需要低迷で苦しむ中で石化シフトの渡りに船となるだろう。

一方、オイルメジャーと同じく原油価格暴落で苦しむ新興国(ロシア、ブラジル等)だが、こちらはオイルメジャーとは対照的に、技術的にも先進国(日米)の水素社会への変化には追いつけず取り残されることになると見ている。今後も地下資源を安売りすることで糊口を凌ぐ日々が当分の間続きそうだ。

参考:
2015年1月9日金曜日
原油安:GSにさえ見捨てられたBRICS。
2014年9月16日火曜日
資源価格の下落と特亜経済の凋落。

というわけで、今回のVWショックは、先進国での「水素社会」到来の起爆剤となるのではないか見ている。それは日米の新たな経済発展の狼煙でもあり、ひいては日米の軍事的な革新にも繋がるものとも思われる。

参考:
2014年8月14日木曜日
無人潜水艦:米海軍と防衛省が促進する水素社会。

関連:
2015年1月6日火曜日
トヨタが全てのFCV特許を無償公開、テスラに対抗か。

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