http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150709/k10010144111000.html
福祉人材不足で規制緩和策検討へ 厚生労働省
7月9日 5時22分
厚生労働省は、地方の福祉施設での人手不足に対応するため、1人の職員が保育士や介護福祉士など複数の資格を取得することを促進したり、同じ施設内で複数のサービスを提供したりできるようにするための規制緩和策を検討する方針です。
厚生労働省は先に、介護職員が10年後の2025年に、全国でおよそ38万人不足する見通しなほか、保育士が2018年に全国でおよそ7万人足りなくなるとした推計をまとめており、今後、中山間地域などを中心に福祉施設の運営が厳しくなり、十分なサービスを提供できなくなるおそれがあるとしています。
こうしたなか厚生労働省は、省内にプロジェクトチームを設け、地方の福祉施設で働く人材の確保に向けた規制緩和策を検討する方針です。
具体的には、1人の職員が保育士や介護福祉士など複数の資格を取得することを促進するため、いずれかの資格を持っている人は、ほかの資格試験の一部を免除することや、筆記試験の一部を統合することなどを検討するとしています。
首都圏で働く団塊世代の殆どは、高度経済成長による人手不足を解消するために地方から集められた労働者である。旧公団などの巨大なマンション群はまさに労働者を呼び寄せるために作られたといっても過言ではない。
そんな団塊世代もいよいよ労働者としての価値がなくなり、社会保障費を圧迫するだけの存在となるのだ。そんな彼らを生活コストの高い首都圏に税金で住まわせておくのは社会資本の無駄であり、余りにも効率が悪いわけである。もし首都圏が、働かない者達によって生活コストが押し上げられ、肝心の働く世代が住めないような場所であり続ければ、それは日本の経済成長にとってはマイナスでしかない。政府が彼らを地方に還流させようと考えるのも至極当然のことなのである。
効率性を考えれば、福祉施設をわざわざコストの高い首都圏に置いておく必要性は何処にもなく、地方にどんどん移転させることが理に適っているため、これからは国策により地方の介護施設が充実することになるだろう。
とは言え、やはり福祉施設の“人手不足”の問題はどうしてもクリアせねばなるまい。いずれは地方の労働集約型産業の殆どがロボットに取って代わられる時代が来るだろうが、それまでの“つなぎ”の労働者はどうしても必要である。
厚労省は“資格の取得緩和”などという中途半端かつ小手先な策で何とかなると考えているようだが、此の手の産業の人手不足はそんな甘いものではない。資格保有者でさえも、その過酷な労働環境が嫌で二度とやりたくないと考える者も多いからだ。
労働環境が過酷になる一番の原因は、やはり労働者が足りていないからである。福祉施設のように明らかに労働需給バランスが逼迫している業界で御大層な資格制度を設ける事自体、ナンセンスの極みと言わざるを得まい。例えば介護施設などでの仕事というのは、ぶっちゃけ言ってしまえば“誰にでも出来る仕事”である。それをわざわざ労働需給を全く無視して資格制度なんぞで縛ることというのは、いかにも頭のお硬いタックスイーターの考えそうなことと言わざるを得ない。
福祉業界の人手不足を解消するために今こそ必要なのは、「資格制度の廃止」や「施設要件の緩和」といった“大胆な規制緩和”である。そこに重要なプラスアルファとして、「IT化、ロボット化の推進」も入ってくるだろう。とりあえず雇用をもっと流動化させ、手の空いている人間なら誰でも(主婦でも年金老人でも)自由に仕事に参加できるような仕組みに変えるべきである。会社側(特に中小企業)に負担の大きい雇用関係手続き(社保、年金、雇用保険等の手続き)も規制緩和で減らす方向にシフトすべきだろう。
参考:
2015年4月24日金曜日
2015年版中小企業白書:建設・医療福祉業界で深刻な人手不足。
2014年10月15日水曜日
資格制度が労働需給バランスを歪める。
兎に角、労働者が不足する業界を無駄な規制で縛り続けるのは、今すぐにでも止めにすべきである。そのような規制は、国民皆を不幸にし、日本経済成長の足枷にもなるだけであり、役人以外の国民にとっては良いことなど何一つ無いのだから。
役人お得意の「規制」を登場させるタイミングは、その産業の労働者不足が解消し、逆に労働者や施設が過剰になったその時だけで十分である。
関連:
2015年5月29日金曜日
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