米共和党のポール・ライアン米下院歳入委員長が昨日(2015年2月19日)、日本記者クラブで会見し、今春にオバマ大統領にTPAを付与すると表明したとのことである。TPAはTPP妥結のためには必要不可欠な権限の一つである。米議会で多数派の米共和党が協力すれば、TPP交渉は一気に前進することが期待される。
http://jp.wsj.com/articles/SB11096553489394754382504580472661031947870
米議員団、安倍政権に圧力―TPP早期合意に期待
2015 年 2 月 20 日 10:49 JST 更新
【東京】来日中のポール・ライアン米下院歳入委員長(共和、ウィスコンシン州)は19日、日本記者クラブで会見し、環太平洋連携協定(TPP)交渉に関連して、議会は今春に大統領に貿易交渉促進権限(TPA)を付与すると表明し、安倍晋三首相に対し大胆な市場開放を求めた。
ライアン委員長は「議会は今春にTPA付与法案を承認するだろう。そうなれば本腰を入れて交渉できるようになろう」とし、「その結果TPP交渉は程なく妥結となろう」と述べた。
一方、甘利TPP担当相も本日(2015年2月20日)の会見で、TPA付与とセットで重要となるTPP交渉参加12カ国の閣僚会合開催時期について、3月から5月の間という認識を示している。
http://www.sankei.com/economy/news/150220/ecn1502200021-n1.html
2015.2.20 09:37更新
TPP閣僚会合は3~5月に開催 甘利担当相が見通し、当初想定よりはやや遅め
甘利明・環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)担当相は20日の会見で、TPP交渉参加12カ国の閣僚会合開催の見通しについて「春の早い時期(の開催)というのは厳しいかもしれない」と述べ、当初の想定よりもスケジュールが遅れる可能性を示唆した。
甘利氏は閣僚会合開催の時期については、「春のうちには開催できると思っている」と述べたうえで、春の時期については、3月から5月の間という認識を示した。
さて、米議会がオバマ大統領にTPAを付与する具体的な時期についてだが、それは以下の引用から3月末頃ではないかと予想される。尤も、ソース元の“とある補佐官”は、TPPを実現するための法案は、早くても2015年末までは実装されないだろうと予想しているわけだが。
参考:
http://www.politico.com/morningtrade/0115/morningtrade16727.html
March ending for TPA? — Ryan: Congress should pass TPA ‘first thing’ — Perez: U.S. working on Vietnam labor ’round the clock
By VICTORIA GUIDA | 01/14/15 10:00 AM EDT
TPA MARCH TO END IN MARCH? The first window for passing trade promotion authority legislation will likely be in March, according to a senior House GOP aide, who said busy floor and committee schedules will likely prevent the bill from coming up in February.
The aide also said legislation to implement the Trans-Pacific Partnership probably won’t come up until the end of 2015 or, more likely, until 2016. It’s unclear whether TPP, which the GOP generally favors, would be able to come up for a vote in a presidential election year. But the aide noted that Republicans would likely give more support to TPP than TPA, in part because the latter would grant additional authority to the president.
まぁ何れにせよ、とりあえず直近では、オバマ大統領にTPAを付与しないことには何も前に進まないわけである。米国の政治的スケジュールを考慮すれば、そのタイムリミットは今年5月といったところのようである。
参考:
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201412/2014122900414
TPP妥結、米政治が左右=「期限は来年5月」との見方
2014/12/29-16:29
【ワシントン時事】日米など環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する12カ国は年明けから交渉を加速させる。交渉妥結の成否は、「最終局面」とされる協議の行方のみならず、米国内の政治調整に大きく左右される見通し。合意・批准には米政府の通商権限を強化する「大統領貿易促進権限」(TPA)法の成立が欠かせない。
元米政府高官は、2016年11月の大統領選挙に向けた日程を挙げ、TPA法成立とTPP交渉妥結が重要になると指摘。「来年5月ごろまでに、この二つが実現しなければ、オバマ政権下でのTPP合意・批准は困難になる」と語る。
15年後半には大統領選挙戦が本格化し、議会でTPA法などの重要法を成立させることが難しくなる。
これらの情報から今後のTPP妥結までのスケジュールを予想すると、まず来月末(3月末)までに米議会がTPA法案を成立させ、その後、5月末までにTPP交渉参加国による閣僚会合を実施、最後は2015年末までにTPP妥結、といった運びになるのではないかと思われる。
参考:
http://www.jmf.or.jp/USA/USA_65/usa65_p1.html
オバマ米大統領は2014年12月11日、ホワイトハウスで行われた大統領輸出評議会の会合で、環太平洋経済連携協定(TPP)が2015年末までに妥結する可能性は「5分5分以上だ」と語った。
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