都市部の大気汚染の深刻な中国では、テスラ社のようなEVメーカーが有望視されているものの、やはり充電ステーションなどのインフラ整備の面が中国でもネックとなっているようである。EVは走行距離がガソリン車などに比べて短く、こまめに充電する必要があるわけだが、EVの需要に充電ステーションの整備が追い付いていないのが現状である。
引用元:SankeiBiz
米テスラ、中国販売苦戦 最大の課題は「走行距離不安症」 (1/3ページ)
2015.4.21 07:10
米テスラ・モーターズが当初有望視していた中国市場で、苦戦を強いられている。同国では裕福な消費者の高級車志向が高まっているほか、電気自動車(EV)は都市部で問題となっている大気汚染の有力な解決策になると期待されたが、市場の見方を誤り、座席や搭載アプリが顧客の好みに合致していなかったようだ。そして最大の課題は、EVドライバーの「走行距離不安症」(走行中の充電切れを恐れて長距離走行できない現象)を和らげることだ。
中国の大手ステンレスメーカー、青山鋼鉄の取締役を務める桑尼張氏(上海在住)は、テスラのセダンタイプ「モデルS」を手に入れようと躍起になったが、購入後に後悔の念に駆られている。BMW・X5とフェラーリを所有する同氏は、充電切れを恐れるあまり、思い切った遠出をすることはほとんどないと言う。そして「もう一度やり直す必要があるとすれば、買うことはなかっただろう。EVを持つにはまだインフラが整っていない」と打ち明けた。
EVにおいてもFCVにおいても、やはりガソリン車に対抗するためには燃料供給ステーションの充実こそが最重要といえよう。ただ、日本だけで見た場合、EV充電ステーションよりもFCVのための水素ステーションのインフラ整備の方が早くなることが予想される。なぜならFCVないし水素社会というのは日本の国策だからだ。
参考:
2015年1月6日火曜日
トヨタが全てのFCV特許を無償公開、テスラに対抗か。
では、米テスラ社が今後、次世代自動車業界で主導権を握るためにはどうすべきか。テスラが次世代自動車で主導権を握るための必須条件は以下の4つとなる。
1. 充電ステーションの充実
何はともあれ、まずは簡易的な充電ステーションを開発し、其れを兎に角彼方此方に設置することだろう。または、既に米国でやっているようなバッテリー交換スタンドのような施設の普及も目指すべきだろう。現状のEVのデメリットである“航続距離の問題”を克服するためには、やはり充電ステーションの充実は不可欠である。
2. リチウムイオンバッテリーの量産・低価格化
EVで最も重要でコストも大きい部品といえば、やはり“バッテリー”である。現在はEVのバッテリーとして“リチウムイオンバッテリー”が利用されている。テスラ社はパナソニックと共同で米ネバダ州スパークス郊外でリチウムイオンバッテリー製造のためのギガファクトリーを建設中である。このギガファクトリーでは2017年の製造開始を予定しており、その後は2020年までにギガファクトリーは最大生産能力に達し、1年間で生産されるリチウムイオンバッテリー数は、2013年に全世界で生産されたバッテリーの合計数を上回ることを予定している。(参考:テスラモーターズジャパン) ギガファクトリーでの量産が始まれば、リチウムイオンバッテリーの低価格化が期待され、バッテリーの低価格化がEVの低価格化に直結するだろう。
参考:
2014年5月24日土曜日
リチウムイオン電池でFCV時代を乗り切る米テスラとパナソニック。
3. EVの低価格化
やはりEVの車体自体が安くなければFCVに勝ち目はないだろう。だがEVはFCVに比べて構造がシンプルなため、FCVよりも安く作ることは十分に可能である。言ってみればEVというのはスマホのようなもので、部品さえ調達できれば、後は台湾や中国、ベトナムといった人件費の安い国で組み立てればコストはかなり抑えられる。製造工程の基本はスマホもEVも同じなのだから、テスラ社が今後、電機メーカーと融合していくことは十分有り得る話である。
参考:
2014年8月1日金曜日
米テスラとパナソニックが融合する未来。
2014年6月13日金曜日
米テスラ:EV特許オープン化でFCV時代を戦う。
2014年3月4日火曜日
超小型EVは国内産業復活の鍵。
4. ブランドを維持
EV市場がスマホ市場と本質的に同じであると考えれば、製品の低価格化はブランド価値を低下させていく恐れがある。それを回避するためには、iPhoneブランド化に成功した米アップル社の戦略が参考になるだろう。アップル社は、部品調達コストと製造コストを合理化しつつも、相変わらずiOS製品の高価な販売価格を維持している。iPhoneなどがAndroidスマホよりも高くても売れている理由は、やはり“ブランド力”を原資としてアップル社の自社サービスに顧客を囲い込むことに成功しているからだろう。この囲い込み戦略は、テスラ社もEV業界で応用できるかも知れない。やはり利益を追求するならばEV業界におけるテスラのブランド化は避けては通れまい。
以上の4点がテスラがEVで次世代自動車業界を制するための必須条件となるわけだが、これらの条件からテスラの最も合理的な選択を考えるならば、今後テスラ社が採るべき行動は以下の通りとなろう。
テスラをアップルに売却せよ
アップル社は安価なリチウムイオンバッテリー調達やEV事業自体にも興味を持っていると云われているわけだが、それならいっその事、テスラ社は自らをアップル社に売却するというのも“アリ”ではないだろうか。テスラ社もアップル社も顧客層や事業が割と被るところがあるので、アップルとしてもテスラ買収は決して悪くない、寧ろメリットとなる筈である。もしアップル社がEV市場に参入を考えているのなら、FCVとの次世代自動車競争に勝つためにEV競合他社を囲い込んでおくことは経営戦略上かなり有効であろう。
更に巨大な資本力を手に入れられれば、EV充電ステーション普及の問題も解決は早いだろう。充電ステーションというのは実はテスラのみならずアップルにとっても重要な事項なのである。なぜなら、“バッテリーの持ち”の問題というのは、スマホにおいてもスマホ黎明期から今尚変わらない問題だからだ。充電ステーション普及というのは、スマホなどのモバイルデバイスの充電インフラを整備することにも繋がる話なのである。
先日のアップル社の株主総会でも一株主からアップル社によるテスラ買収を求める提言があったようだが、このようなテスラ買収の提案を一株主の冗談にしておくのはアップル社にとっても余りにも勿体ない話である。
参考:
引用元:Bloomberg
アップルのクックCEO、テスラ買収求める株主の熱意かわす
2015/03/11 06:53 JST
(ブルームバーグ):米アップルにとって5年ぶりの新デバイスとなるウエアラブル端末「アップル・ウオッチ」の詳細を発表したばかりのティム・クック最高経営責任者(CEO)は10日、カリフォルニア州クパティーノの本社で開いた年次株主総会で電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズとの提携を求める株主の強い熱意に直面した。
株主の1人は総会で「率直に言って、アップルによるテスラ買収を期待する」と訴えた。この発言は出席者の笑いと拍手を誘った。
そつがないクックCEOはこの問題をうまくかわそうと「われわれにはテスラとの関係はない」と述べ、すぐに話題をアップルの車載情報・娯楽システム「カープレイ」に切り替えた。前日のアップル・ウオッチの発表イベントでもカープレイの説明を行った同CEOは「テスラにはカープレイを採用してもらいたい。当社は全ての主要自動車ブランドからカープレイを搭載する約束を取り付けている」と語った。
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