米テスラが知財権の他社使用を容認、EV開発の加速目指す
2014年 06月 13日 08:29 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EN2S020140612
[デトロイト/サンフランシスコ 12日 ロイター] - 米電気自動車(EV)専業のテスラ・モーターズ(TSLA.O: 株価, 企業情報, レポート)のマスク最高経営責任者(CEO)は12日、EVの開発を加速させるため、自社の知的財産権を他社が使用することを認める意向を明らかにした。
使用を認めるのはテスラの保有する全ての特許で、現在は数百件あり、将来取得する予定の数千件も対象にするという。テスラにリチウムイオン電池を供給するパナソニック(6752.T: 株価, ニュース, レポート)が保有する特許については、対象には含まれないとしている。
この米テスラの驚くべき決定の狙いは、EV普及の要となる充電スタンドの普及に在ると見ている。
水素社会到来と燃料電池車(FCV)普及は既に日本でもコンセンサスとなっているわけだが、FCVの普及において最も重要となるのは、“水素スタンド”などのエネルギー供給網である。ここを克服すべく日本も目下、官民が協力して法整備とインフラ整備に力を注いでいるところである。
参考:
2013年8月19日月曜日
水素社会実現の封印を解いた経産省。
これは、EVの普及でも同じようなことが謂える。やはり、この問題(エネルギー供給網=充電スタンドの普及)をクリアしなければ、EV自体が普及することも有り得ないということである。充電スタンドが充実しなければ、EVはFCVに勝てないどころか追いつくことすらできないだろう。
だが、今回のテスラの決定により、EV業界も巻き返しを図ることが十分に可能となるかも知れない。
そもそも、充電スタンドの普及の足枷になっているモノが何かというと、それは熾烈な“規格争い”(CHAdeMOとCombo)と、その背後に潜むライセンス料の問題だったりするわけである。
参考:
テスラ、充電スタンド関連の特許オープンソース化を示唆
2014.06.10
http://wirelesswire.jp/Watching_World/201406101155.html
米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モータース(Tesla Motors)が、同社で展開中の充電スタンド(「スーパーチャージャー」)に関する技術特許の一部をオープンソースとして公開する考えを明らかにしたと,Engadgetが9日(米国時間)付の記事で伝えている。
なお、EV用急速充電関連の規格には日本メーカーが中心となって推す「チャデモ」(CHAdeMO)と主にドイツ勢が推す「コンボ」(Combined Charge Standard、Combo)があり、この両方式が規格争いを続けているとされる。
だがここで、今回オープン化された米テスラの充電スタンドの規格である「Supercharger」を利用すれば、ライセンス料の問題は解消され、充電スタンドの普及も一挙に進むことが予想されるわけである。まぁCHAdeMOとComboは互いに首を絞め合って消えて逝く可能性が高いが、これらを管理している大手自動車メーカーも今はEVよりもFCVの方にご熱心なので然程問題では無いのかも知れない。
充電スタンドさえ充実すれば、EVはFCVと十分に張り合えるだろう。張り合えるどころか、むしろ、構造が圧倒的に単純なEVの方が製造コスト面で見てFCVよりもアドバンテージがあるかも知れない。
関連:
2014年3月4日火曜日
超小型EVは国内産業復活の鍵。
その上、“電気”は“水素燃料”と違って入手しやすく汎用的なエネルギーなわけで、これは一般消費者にとっては大きなメリットである。原発再稼働で電気料金が下がれば、ランニングコストというメリットが更に追加されるだろう。今の日本のエネルギー安全保障上、生産国の情勢に左右されやすい天然ガス由来の“水素燃料”よりも、やはり“電気”の方が信頼性が高いと謂えよう。そう考えるとやはり、日本は原発を早々に再稼働すべきなのだろう。(参考:エネルギー)
短・中期的に見ればFCV時代の到来は必至だが、FCVはあくまでも“過渡期の技術”であり、FCVの先に在るのは、やはり“EV”である、と俺は以前から述べている。長期的に見れば、FCVは再びEVへと回帰するということである。
何れにしても、この米テスラの地味な発表が自動車業界に小さからぬ衝撃を与えたことは間違いないだろう。
関連:
2014年5月24日土曜日
リチウムイオン電池でFCV時代を乗り切る米テスラとパナソニック。
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