GPIF、投資家指針受け入れへ=企業価値向上に積極関与
時事通信社 2014年5月21日(水)22時55分配信
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1077087
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は21日、機関投資家の行動指針を定めた「日本版スチュワードシップ・コード」を受け入れる方針を固めた。今月下旬に開く運用委員会に諮った上で表明する。株主としての中長期的な利益の拡大を目指し、投資先の企業価値向上などに積極的に関与していく。
GPIFは約130兆円を運用する世界最大級の機関投資家。GPIFの受け入れ表明で、「物言わぬ株主」が多いとされる日本の機関投資家にも影響を与えそうだ。
日本の企業が世界的競争力を持てない一番の原因は、経営陣の「無責任さ」に在ると思っている。
長期不況の中で天下りを受け入れて延命してきた多くの国内企業は、役人に箸の上げ下げまで管理されるような半官企業状態になってしまったわけだが、それにより、多くの国内企業では、従業員から経営陣までもが皆“公務員化”してしまっている。彼らは“企業としての成功”よりも自らの保身を最優先するため、物事が前に進まない、進めるつもりもないのだ。これは社会主義国でよく見られる風景である。
そのような企業が国際競争力を失って逝くのは余りにも自然なことなである。
彼らが本分を全しなくなった理由は、何も役員個々人の資質によるものだけではなく、公的年金などの“物言わぬ安定株主”の存在も大きいのである。大株主である公的年金が一切経営に口を出さなければ、彼ら経営陣は、会社を自分の所有物だと“勘違い”をするようになるだろう。公的年金のような巨大な安定株主の存在は、経営陣を外圧から守る防護壁となり、結果、彼らの自助努力を怠らせる原因となるのである。たとえ彼らが背任行為をやらかしても、それに突っ込む人間(経営に関与できる大株主)が居ないからである。“物言わぬ安定株主”を防護壁にしつつ、取締役会も仲間うちで固めておけば、後は好き勝手に会社を私物化できるだろう。
このような企業文化では、日本の企業が競争力をつけることなど不可能だし、また、そのような非効率な企業にわざわざ投資をしたいと思う投資家も少ないだろう。
アベノミクスを成功させて日本経済を良くするには、日本国内でダブつく資金を企業への投資に振り向け、海外からの投資家も呼び込むことが鍵となるわけだが、GPIFなどの巨大な公的年金にスチュワードシップ・コードをしっかりと意識させて株主としての責任を持たせることが、そのための“呼び水”となることは言うまでもあるまい。
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