ウクライナ問題で経済制裁を食らう可能性の高まるロシアだが、その影響は日本にも及ぶ可能性が高そうである。
安倍政権は昨年11月(2013年11月2日)、初となる日露2+2を実現するなど、今まさにロシアとの関係を修復しようとしている最中であり、その狙いの一つには、ロシアからの天然ガス輸入があることは言うまでも無い。
ウクライナ情勢とそれに伴う経済制裁は、ロシアのプーチン大統領の進める経済政策にとっても非常に厄介である。
ロシア国営ガス企業「ガスプロム」と対立する、ロシア国営石油企業「ロスネフチ」に側近を送り込んでいた、ロシアのプーチン大統領は、昨年末(2013年12月)にようやく念願のLNG輸出の自由化を実現したばかりだからである。この自由化により、ガスプロム以外の企業(ロスネフチ)もLNGを海外に輸出できるようになったのだが、その矢先に今回の“ウクライナ騒動”である。
参考:
4.12.2013, 17:09 ロシアの声
ロシア LNG輸出を自由化
今回のウクライナ騒動で、サハリンで再び動き始めていた「サハリン1」にも再び暗雲が立ち込めることになるだろう。
参考:
2013.10.22 10:00 産経
露プーチン政権、LNG輸出を自由化へ 「サハリン1」一転、争奪戦
既に稼働している「サハリン2」では、ガスプロムが途中(2006年12月)から強引な手法(ロシア政府を使った環境アセスメントの不備を指摘)で運営の主導権を握り、最初から参画していた三菱商事や三井物産は途中で株の持ち分を減らされるなど、損失を被りながらもながらも、今も渋々ガスプロムに付き合っている状況である。実質的に「サハリン2」は、ガスプロムが運営しているといっても過言ではあるまい。そんなガスプロムは、プーチンの自由主義的政策に反対している。理由は言うまでもなく、自らだけに与えられていた輸出権を守り、利益を独占したいからである。
一方の「サハリン1」は、日本政府や日本の企業を含む、外資主導で開発が進められている。「サハリン1」に参画している組織は、米エクソン・モービル、日本政府、伊藤忠、丸紅である。だが、ガスプロムはこのライバルプロジェクトを潰すべく、「サハリン1」で生産されるLNGを「輸出に回さずに同社に破格値で卸せ」と要求している。
畢竟、「サハリン1」と「サハリン2」の対立は、「ロスネフチ」と「ガスプロム」の対立であり、ひいては、経済自由化を目指す「プーチン大規模」とロシアの「社会主義者」の対立とも考えられそうである。
オバマの対露経済制裁が今後、どちらのプロジェクトに有利に働くかを見れば、ウクライナ情勢に火を着けた連中の背後も自ずと浮かび上がってくるだろう。
まぁ予想をするならば、親共なオバマはおそらく後者を利するような経済制裁を発動するだろう。なんせ「サハリン1」の方には米共和党支持の米エクソン・モービルも居るわけだしね。
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