これにより、TPP交渉で日本は完全に孤立してしまったことになる。
米、関税全廃を要求 TPP交渉、重要5項目は猶予期間 - 朝日新聞デジタル 11月17日(日)5時56分配信
【藤田知也】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、米国が日本にすべての輸入品の関税をなくすよう求めていることが分かった。日本が例外扱いを求めているコメなどの農産品「重要5項目」も、20年以上の猶予期間をつくるなどして撤廃するよう要求。米国の想定外の強硬姿勢に日本政府は反発を強めており、年内妥結は不透明さを増している。
米国とは、2月の首脳会談で「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といったセンシティビティー(重要項目)があることを認識する」ことで合意。一定割合の品目については関税を維持できる、とみて交渉を進めてきた。
TPP:10カ国、日本に全関税撤廃要求日本は5項目拒否 - 毎日新聞 2013年11月16日 07時38分
環太平洋連携協定(TPP)交渉で、米国を除くシンガポールやオーストラリアなど10カ国が日本に対し、コメを含む農産品や工業品の関税を全て撤廃するよう要求していることが15日、分かった。重要品目の関税撤廃までの猶予期間を示すことも求めた。これに対し、日本はコメや麦など農業重要5項目の撤廃や猶予期間の提示を拒否した。
米国側は、日本が例外扱いを求める「重要5品目」に関して、「20年」以上の猶予期間を作るなどして撤廃すべしと要求しているわけだが、この「20年」という数字は恐らく、米国の日本車に対する関税撤廃の猶予期間である「20年」と連動させたのだろう。
日本車への関税撤廃は20年先か…米、強硬姿勢 - 読売新聞 2013年11月5日03時37分
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、米国が日本車にかけている輸入関税の撤廃が、協定発効から20年程度先となる公算が大きくなった。
日本は5~10年での撤廃を求めていたが、「TPP交渉の(中の)最も長い期間で撤廃」するという日米合意を基に、米国が歩み寄りの姿勢を見せていないためだ。
米国の日本車に対する関税は、乗用車が2・5%、トラックが25%。関税撤廃まで20年かかれば、米市場で日本車が長期間、不利な競争を強いられるだけでなく、欧州連合(EU)など他の国・地域との通商交渉でも同様の厳しい条件を要求される懸念がある。
つまり、日本が「重要5品目」で譲歩しない限りは、日本の産業の背骨である「自動車」も人質に取られたままということである。
この交渉においては、ぶっちゃけ日本に選択の余地は無いだろう。日本の産業を支える「自動車」で攻めるのか、それとも、何時までも自立しない「なんちゃって農家」を守るのか、という二者択一において、日本が採るべき道は誰の目にも明らかだからである。日本経済が“拡大均衡”に向かうには前者しか有り得ない。もしここで日本が自動車産業を見捨てれば、数年後には、日本の自動車を筆頭とした製造業の優位性が完全に過去の遺物となってしまうだろう。
参考1:減反政策:政府の見直し検討にファビョる農業“破壊”団体。2013年10月24日木曜日
参考2:TPP:政府が遂に「聖域」の関税撤廃を検討開始。2013年10月7日月曜日
参考3:TPP反対派が理解しておくべき「補助金」の話。2013年8月26日月曜日
日本の輸入を増やすことが国内輸出産業の活性化に繋がるということは、上の参考2でも述べた通りである。
また、上の参考1や参考3でも述べた通り、「なんちゃって農家」を血税と消費者の負担で保護することと、「本物の農業」を守り育てることは全く別物である。日本の農業を破壊してきた農業利権団体は、そこには敢えて触れようとはせず、ただただ減反制度改革の反対や反TPPだけを訴える。生活保護の不正受給者が生活保護制度の改善に猛反対するのと似たようなものだろう。
日本の社会・経済の惨憺たる現状は、排他的で英語アレルギーの官僚主義社会が経済を関税・非関税障壁で閉ざし続け、円高の根本原因から目を背けてきた結果生じたものである。もし、TPP交渉で政府が間違った選択を採れば、日本経済は引き続き“失われた30年”を目指す羽目になるだろう。
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