イラン最高指導者が築いたビジネス帝国、石油輸出上回る資産規模 - ロイター 2013年 11月 11日 21:43 JST
[11日 ロイター] -イランの最高指導者ハメネイ師が、同国の年間石油輸出額を上回る資産規模のビジネス帝国を築き上げていることがロイターの調査で明らかになった。
セタード(Setad)と呼ばれるこの組織は、金融、石油、通信、医薬品をはじめ農場に至るまで産業全般に影響を及ぼしており、ハメネイ師の権力を示すカギのひとつでもある。イラン国民や在外イラン人などの資産を体系的に接収することで成長してきた。また放棄されたとして法廷で土地の権利を主張して、多大な不動産も所有している。
米財務省は6月、この組織は「イラン指導部の代わりに資産を隠匿するフロント企業」と指摘し、制裁を科した。
セタードの資産額はベールに包まれているため評価が難しいが、同社のコメントやテヘラン証券取引所や企業のデータ、米財務省の情報などに基づく試算では950億ドルで、不動産が520億ドル、企業資産が430億ドルとみられている。これは昨年のイランの石油輸出674億ドル(国際通貨基金による)を40%上回っている。
イランは現在大統領制を敷いてはいるものの、実権は最高指導者ハメネイが握っており、民主主義国家の体を成していない。つまり、イランは事実上の君主独裁国家と謂えよう。
親米英派のロハニ大統領が就任したことでイランと米英との関係改善が少しは期待されるものの、議会に実権を取り戻さないことには、イランの民主化はままならないだろう。
最近のイランの若者にイスラム原理主義に疑問を呈する世俗派が増えていると云うが、彼等がこのようなイランの“闇”を糾弾しないままに自由と民主化をどんなに叫ぼうとも、イスラム原理主義組織の築き上げた今の社会構造は今後も何も変わらないだろう。イランの若者達がイスラム原理主義組織のビジネスのための“鉄砲玉”にされてしまう虞れ(おそれ)すらある。宗教の本質は、信者を捨て駒とした“全体主義ビジネス”なのだから。
とは言え、今回のロイターの調査でハメネイの力の源泉に光が当てられたことは、イランの世俗派にとっての大きな希望となるかも知れない。
10日(2013年11月10日)まで行われていた欧米とイランの核交渉で、交渉が急進展を見せており、対イラン経済制裁も緩和されそうな気配となっているが、仮令(たとえ)経済制裁の緩和を行うにしても、「セタード」への経済制裁だけは今後も止めるべきではないだろう。
【関連リンク】
2013年11月11日月曜日
イラン:ホルムズ海峡の航行の自由を確認。
http://surouninja.blogspot.jp/2013/11/iran-promises-feedom-of-navigation-of-the-strait-of-hormuz-to-japan.html
2013年10月1日火曜日
イラン核問題:イスラエルと米国が経済制裁継続で合意。イラン議会はハメネイを切れるか。
http://surouninja.blogspot.jp/2013/10/us-and-israel-agreed-to-continue-the-economic-sanctions-on-iran.html
2013年9月19日木曜日
核疑惑:イランのラスボス「ハメネイ」、米国に譲歩か。
http://surouninja.blogspot.jp/2013/09/khamenei-delegated-the-nuclear-diplomacy-to-rohani.html
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