この合意は明らかにイスラエルを逆撫でする行為であり、ただでさえ難航している中東和平交渉が暗礁に乗り上げる虞(おそれ)もある。
パレスチナ統一政権で合意=分裂解消か、和平には打撃―イスラエル軍、直後ガザ空爆
時事通信 4月23日(水)22時51分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140423-00000164-jij-m_est
【エルサレム時事】パレスチナの主流派ファタハとイスラム原理主義組織ハマスは23日、分裂したパレスチナの統一に向け、5週間以内に統一暫定政権を発足させることで合意した。パレスチナ自治政府のアッバス議長が率いるファタハなどの代表団が、パレスチナ自治区ガザ地区に派遣され、ハマスと協議した結果、一致した。
AFP通信によると、この合意発表直後、イスラエル軍はガザ地区を空爆した。
合意によると、暫定政権発足から少なくとも6カ月を経た後、議長・評議会(議会)選を実施する。
2007年以降続くヨルダン川西岸とガザ地区のパレスチナ分裂の解消が進む可能性が出てきた。しかし、欧米やイスラエルは、「テロ組織」とみなすハマスにアッバス議長が接近することに反発し、難航する中東和平交渉が暗礁に乗り上げる恐れもある。イスラエルは暫定政権の合意を受け、23日夜に予定されていたパレスチナ側との和平協議を中止した。
これを受けてイスラエルのネタニヤフ首相はツイッター上で猛烈に抗議している。
This evening, as talks are still ongoing about extending the negotiations, Abu Mazen has chosen Hamas and not peace. 4/5
— Benjamin Netanyahu (@netanyahu) 2014, 4月 23
同盟国を蔑ろにする米オバマ政権だが、ここで米国が毅然とした態度で同盟国イスラエルを擁護しなければ、中東情勢は確実に不安定化していくだろう。
だが、シェールガス革命に湧き、エネルギー輸入国から輸出国へと転換した米国にとっては最早、中東がそれほど重要な地域ではなくなったことは事実であり、軍事費削減を進めるためにもオバマ政権は今後、米軍の中東関与を減らしていくだろう。つまり、中東の不安定化は必至だということである。
参考:
2013年11月12日火曜日
リーバーマン外相復帰とイスラエルの計画的破滅。
2013年11月7日木曜日
中東地域をロシアに委譲する米国。
また、ここにきてオバマ大統領が中国を敵視する姿勢を明確に示したことも、パレスチナを増長させるキッカケとなったのかも知れない。イスラエルは中共と軍事的な関係を深めている国の一つであり、米国のみならず日本やその同盟国にとっても懸念の拭えない国だったりするわけである。
参考:
2014年4月24日木曜日
オバマ訪日:尖閣防衛を初めて明言。
2014年4月2日水曜日
イスラエルは全方位敵対外交で消滅するか。
既に核保有が疑われているイスラエルだが、今後は自らの手で自国を防衛すべく、堂々と核開発を進めて核保有を認めるようになるかも知れない。だがそうなれば、イスラエルは増々世界から孤立することになるだろう。中共と付き合いながらの核開発など、何処の同盟国も認めてはくれないだろう。イスラエルは自らの手で自らを難しい立ち位置に追い込んでいるのである。
さて、今後予想される中東不安定化がエネルギー国際価格を押し上げるのではないかと予想しているのだが、ひいてはそれが、産油・産ガス大国である米国とロシアに巨万の富を齎すことにも繋がるだろう。今中東情勢が不安定化して得する大国こそ在れ、大きく損をする大国が存在しないという、非常に危険な状態にあるのである。
我が国日本は、中東不安定化でシーレーンの確保に苦労するかも知れないが、他にも代替手段として、米国やロシアからエネルギーを輸入するという選択肢も存在するわけである。おそらく両大国は日本に対し、後者の選択肢を薦めてくることだろう。
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