2014年6月4日水曜日

法人減税:2015年度から実施へ。

https://surouninja.blogspot.com/2014/06/Japan-cuts-corporate-tax-rate-to-worldwide-competitve-level-from-2015-fiscal-year.html?m=0
政府・与党が3日(2014年6月3日)、法人税実効税率を来年度(2015年度)から引き下げる方針を固めたとのことである。

政府与党、来年度から法人税下げ 首相、具体策の調整指示

共同通信社 2014年6月3日(火)18時54分配信
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1094269

 政府、与党は3日、法人税の実効税率を2015年度から引き下げる方針を固めた。政府が月内にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に明記する。
自民税調も3日の小委員会で、恒久的な財源を確保した上で税率を引き下げるとした法人税改革案をまとめた。
 現在の法人税の実効税率は35・64%(東京都の場合)で、20%台の中国や韓国、欧州各国に比べて高い。

2013年1月時点の世界の法人税実効税率は以下の通りとなっている。


引用:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084_large.gif

今回の法人実効税率の引き下げで政府・与党が最初に目を付ける部分はおそらく、「地方法人特別税」の部分であろう。現在の法人税の内訳でも地方税部分、特に「地方法人特別税」部分には合理的な存在理由が乏しく、財界からの不満も大きいからである。

参考:
経団連、地方法人特別税の廃止求める

川島会計事務所タックスニュース
http://internet-kaikei.com/25tax/250614b.html

 日本経済団体連合会(米倉弘昌会長=住友化学会長)では、法人税の実効税率を「アジア近隣諸国並みの25%にまで」大幅に引き下げるべきだとする政策提言「地方法人課税のあり方」を発表していますが、

このなかで地方法人所得課税については、「行政サービスとの関連性が不明確であり、景気により税収が大きく変動し、偏在性も高く、地方税の基幹的税目とするには不適当」だとして、「地方税の枠組みのなかでいかなる改変を加えても地方自治体の安定財源とはなりえない」と分析。

「地方法人所得課税の国税化を図ったうえで、地方交付税、地方譲与税などもあわせた一般財源を保障する仕組みを構築すべき」だと指摘しています。

 また、地方法人特別税については、「制度の創設経緯からして、本来であれば単純廃止が当然」としたうえで、「遅くとも消費税率の10%への引き上げ時までに確実に廃止すべく、平成26年度税制改正で成案」するように提言しています。

参考:
理事長インタビュー 國枝 繁樹(一橋大学国際・公共政策大学院准教授)
 「『法人税率の引下げは税収を増やす』というのは本当か」 

2013年11月15日
http://www.nira.or.jp/president/review/entry/n131220_721.html

日本の法人税率はなぜ高いのか

伊藤 そもそも、日本の法人税率は、アメリカと並んで高く、欧州やアジアの方が低いといわれています。これはなぜでしょうか。
國枝 1980年代前半まで、日本は必ずしも国際的にみて法人税率が高いとはいえませんでした。しかし、その後、資本移動の自由化が進んで、各国が法人税率の引下げを競う、「税の競争」を行うようになった。法人税率を下げれば国外から資本が入る。アイルランドのような経済規模の小さな国では、そのメリットが大きい。アジアでは香港やシンガポールがそうです。
伊藤 結果的に日本とアメリカは乗り遅れたということですか。
國枝 日本やアメリカのように経済規模の大きな国では、GDPの規模で考えれば、税率を下げることで資本が入り、税収が増えるということには、なかなかつながりません。ですから、「税の競争」についていくにしても比較的ゆっくりしたものになることは理論的に予想される対応です。
伊藤 その他にも理由はありますか。
國枝 法人税には国税分と地方税分がありますが、実は、国税の方は海外と比較してもそれほど高いわけではありません。むしろ、地方法人2税といわれる、法人住民税と法人事業税が高い。法人税率の引下げの問題は、本来は地方法人税をどうするかが議論されなければなりません。

上の財務省の各国法人実効税率の画像を見てもわかるが、地方法人特別税を廃止し、事業税の税率を仮に半減させるだけでも、法人実効税率は29%付近まで引き下げることができる。これはドイツとほぼ互角の法人税率にできるということである。これだけでも世界企業が日本で経済活動する魅力はかなり増すだろう。

とはいえ、今回の法人減税は必ず“消費税10%”とバーターで行われると見ている。つまり、2015年度からの減税実施は、2015年10月予定の消費税10%の確定とおそらくセットとなるということである。
実際、暫定的措置である地方法人特別税の廃止は元々、消費税率10%(2015年10月予定か)の段階で廃止される予定になっていたわけである。(参考:H26法人課税 - 税理士法人山田&パートナーズ)

参考:
税制抜本改革について - 財務省
http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/gaiyou/04.htm

地方法人特別税・地方法人特別譲与税は、「税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置」であり、一体改革に併せて抜本的に見直す。

この「偏在性の小さい地方税」とは、おそらく“消費税”の事を指していると思われる。

個人的には、更なる消費税増税には反対である。

だが、日本を世界的企業が活動しやすい国にしなければ、“持続可能な雇用”は生まれないだろう。そのような雇用が生まれなければ、下請け業者の多い中小企業の仕事も減り、ひいては税収も増えずに少子高齢化とともに日本経済は停滞して逝くだろう。ちなみに、自治体が予算を使い切るために無理やり創出しているような公共事業の多くは、とてもじゃないが“持続可能な雇用”とは言えまい。そのような社会主義的政策は、長い目で見れば必ず人々を堕落させ、経済をも衰退させてしまうだろう。そうなってしまう前に政府は早々に手を打たねばならないわけで、法人税減税はまさにその“入り口”に当たるのである。

チャイナ・リスクが顕在化し、大企業が中国や韓国からの逃亡機会を伺っている今こそ、日本に世界の資金を引き込む絶好のチャンスであり、この機会を見す見す逃してはならない。

参考:
2014年5月22日木曜日
チャイナ・リスク:退路を確保するパナソニック。
2014年4月17日木曜日
オフショア多国籍企業:国家による囲い込み合戦がスタート。

何なら法人税実効税率を25%付近(中国や韓国の税率水準)まで大胆に下げても良いぐらいではないだろうか。

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