2014年11月26日水曜日

原油安:肉を切らせてロシアの骨を断つサウジ。

https://surouninja.blogspot.com/2014/11/Saudi-Arabia-to-kill-Russia-by-refusing-to-cut-the-oil-production.html?m=0
原油価格が大幅に下落する中、原油安に苦しむロシアが急遽、サウジアラビアに減産を要請するも、最終的な合意には至らなかったとのことである。これを受けて、原油価格は遂に1バレル73ドル台に突入したようである。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0J925620141125
サウジがロシアなど非OPEC国と急きょ会談、減産合意至らず
2014年 11月 26日 04:02 JST

[ウィーン 25日 ロイター] - サウジアラビアとベネズエラ、ロシア、メキシコの4カ国は25日、石油輸出国機構(OPEC)総会を27日に控え、原油安への対応を協議したが、減産などの合意には至らなかった。

産油国のロシアとメキシコはOPECに加盟していないが、サウジに減産を迫るため、急きょ4者会談に出席。一部ではサウジがOPEC非加盟国との協調的な減産を支持するとの見方も出ていた。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141126/t10013485951000.html
ニューヨーク原油 73ドル台に急落
11月26日 7時54分

25日のニューヨーク原油市場は、OPEC=石油輸出国機構の総会で加盟国は減産に踏み切らないという観測が強まったことから原油の先物価格は急落し、一時1バレル=73ドル台まで下落しました。

25日のニューヨーク原油市場は、この日オーストリアのウィーンでサウジアラビアなど産油国4か国が会合を開き、原油安への対応を協議したものの原油の減産で合意しなかったことから、27日に開かれるOPECの総会でも減産に踏み切らないという観測が強まりました。

当ブログでは以前、今の原油安はサウジの損益分岐点である80ドル/バレルあたりで落ち着くだろうと予想していたわけだが、今回はそれを更に下回る水準にまで急落している。

参考:
2014年10月14日火曜日
原油価格下落:米・サウジ連合のターゲット・プライス。

上記参考でも述べた通り、この価格では、減産を頑なに拒み続けるサウジでさえも、既に“出血状態”であることが予想される。それでもなお、サウジは減産する構えを見せていない。ここから想像するに、サウジは一気呵成に「肉を切らせて(ロシアの)骨を断つ」心算なのかも知れない。やはりロシア崩壊は目前にまで迫っているようである。

参考:
2014年11月11日火曜日
ルーブル完全変動相場制へ:ロシアの対ドル戦争敗北宣言。
2014年10月24日金曜日
原油安:窒息死寸前のロシア経済。
2014年1月6日月曜日
自爆テロ:プーチン大統領がサウジアラビア関与と断定。

一方で、この原油安は日本に大きな恩恵を齎すだろう。

その恩恵に最も与ることができる業界は、原油価格に利益が大きく左右される日本の電力業界だろう。

東電について見ると、仮令(たとえ)昨今の円安傾向を考慮したとしても、今回の原油安で莫大な利益が生み出されることが予想される。

参考:
http://www.yahata-sec.co.jp/week_pdf/090522_9501.pdf
◇主要諸元と利益影響額
主要諸元     単位     億円
原油CIF価格  1ドル/バレル   170
為替レート   1円/ドル     190

(出所)東京電力09.3期決算資料よりCAM作成

以下は余りにもいい加減な計算なのであくまでも参考程度に見て欲しいのだが、

単純に原油CIF価格の利益影響額を四半期で分けてみると、原油価格の影響額は1ドル/バレルあたり42.5億円である。今年7〜9月期(前四半期)の平均値は109ドル/バレルだから、73ドル/バレルまで低下している今期は、36ドル * 42.5 = 1,530億円 の利益増加が見込まれる。これに円安によるマイナス影響を考慮すると、(1ドル102円(前四半期) - 1ドル118円(現在)) * (190億円 / 四半期) = 760億円 だから、

今期は原油安要因の利益だけでも 1530 - 760 = 770億円の利益が出ることになる。この金額は東電のこれまでの決算数値から見ても決して小さくはない金額である。

参考:
http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/fuel/adjust/index-j.html

福島第一原発事故後、ビジネスの肝である原発稼働が見通せない中、身を切る改革を続け企業の存続を図る東電だが、どうやら同社には今、急激な原油安という強烈な“神風”が吹いて来ているようである。東電がこれをバネにエクセレントカンパニーとして完全復活する日もそう遠くはないのではないだろうか。

参考:
2013年12月23日月曜日
東電の宗旨替え。
2013年10月31日木曜日
東電:破綻処理は選択肢にない。
2013年10月18日金曜日
東京電力:順調に進む資産売却とエクセレントカンパニーへの道。

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