豪州では豪ドル高や人件費の高騰により三菱自動車や米フォード・モーターが既に撤退しており、残る両社が撤退すれば豪自動車業界は完全に崩壊することとなる。
トヨタ、豪州で生産中止の公算=豪労組関係者
ロイター 2013年 12月 11日 14:06 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE9BA04520131211
[シドニー 11日 ロイター] -オーストラリア製造業労働組合の関係者は11日、米GM(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)がオーストラリアでの撤退生産を決めたことを受け、トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)も生産撤退を決める公算が大きいとの見方を示した。
同関係者は記者団に対し、トヨタがオーストラリア国内での生産を中止する可能性が「極めて高い」との見方を示した。
米GM、豪州生産撤退へ=コスト高で経営悪化―現地報道
時事通信 2013/12/6 11:24
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20131206-00000034-jijnb_st-nb
ホールデンは人件費などコスト高で経営が悪化。GM本社は、生産を継続しても黒字化は難しいと判断したもようだ。
豪州では、自動車メーカーがいずれも苦戦。三菱自動車が08年に撤退したのに続き、米フォード・モーターも工場閉鎖方針を表明した。GM撤退が決まると、唯一残る形になるトヨタ自動車も追随して撤退するとの観測があり、豪自動車業界は崩壊の危機に直面している。
確かに、最近の豪州の人件費高騰は目に余る。最近の豪州の最低時給は、およそ18AUD(日本円で1,700円)と、日本のそれと比べても倍以上の水準となっている。これに伴い家賃などの生活コストも当然高騰している。
豪州では生産された自動車の7割が輸出に向けられている状況で、この人件費高騰は致命的である。
まぁただ、豪州の産業は多様化されており、特定産業が一時的に低迷しても、全体で見ればそこまでひどい状況にはならいないようには思われる。(参考:"資源と中国に依存"のイメージは本当? オーストラリア経済の意外な事実とは? - 石田哲也 2012/08/07)
豪中銀がインフレターゲットを導入してインフレ率を適切に制御しているにも拘らず、人件費が異常なレベルまで高騰しているという奇妙な状況は、恐らく、同国経済の安定性を評価した、過剰な海外投資に原因があるのではないだろうか。
とは言え、そのような状況も、現在起きている先進国(特に米国)への“資金還流”によって数年以内に落ち着くのではないかと見ている。人気の海外投資先の一つだった豪州も、今後は米国にその座を奪われる可能性があるということである。(参考:ゴールドマン・サックス:米英への資金還流を認める。2013年12月10日火曜日)
また、豪州は食料輸出国の面目を維持してはいるものの、実は最近になって加工食品に関しては純輸入国に転換しており、このような状況の上に、今回のような自動車工場という輸出産業が撤退し、輸入製品への依存が更に進めば、豪ドルは必ず下落するだろう。このような通貨価値の調整によって、今後の豪州経済は徐々に冷却していくと予想している。少し時間は掛かるかも知れないが、先進諸国の景気回復が一服したころに、資金は再び戻ってくるのではないかと思われる。
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