2015年5月21日木曜日

イスラエル:ネタニヤフ首相がパレスチナ国家樹立支持へ急変した理由

https://surouninja.blogspot.com/2015/05/Why-Netanyahu-Israel-got-a-sudden-change-to-approve-the-Palestinian-State.html?m=0
ここに来て、パレスチナ・イスラエル問題に進展の兆しが見え始めたようである。

今までパレスチナ国家樹立を認めて来なかったイスラエルのネタニヤフ首相が20日(2015年5月20日)、パレスチナ問題におけるこれまでの自身の立場を突如反転させ、パレスチナ国家樹立を認める考えを示したからだ。

引用元:時事通信
パレスチナ国家樹立を支持=EU外相と会談―イスラエル首相
時事通信社 2015年5月21日 05時44分 (2015年5月21日 11時58分 更新)

 【エルサレム時事】イスラエルのネタニヤフ首相は20日夜、エルサレムで、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)と会談し、パレスチナとの和平について「私は二つの国家という構想を支持する」と述べた。首相は3月の総選挙の選挙戦中に、パレスチナ国家樹立を認めない立場を示したが、改めてその発言を撤回した格好だ。

ネタニヤフ首相の突然のポジションチェンジは、同首相の以下の行動にも表れている。

引用元:産経
2015.5.21 00:05

パレスチナ人専用バス 人種差別批判受け開始後数時間で中止

イスラエル当局は20日、ヨルダン川西岸からイスラエルに仕事で来るパレスチナ人が西岸に戻る際に専用バスに乗ることなどを求める計画を開始した。しかし、人種差別といった批判を受けてネタニヤフ首相は開始からわずか数時間後に中止を指示した。ロイター通信などが報じた。

ネタニヤフ首相はなぜここに来て立場を急に軟化させたのか。

おそらくネタニヤフ首相は、パレスチナ国家樹立を容認する方向に傾く世界の流れを読んだのではないかと思われる。

パレスチナ国家樹立を容認する世界の大きな動きといえば、例えば最近、世界最大の風見鶏“バチカン”がパレスチナに急接近しており、

参考:
引用元:産経
2015.5.15 11:19更新

「パレスチナ国家」承認へ バチカン、近く条約調印

 ローマ法王庁(バチカン)は15日までに、パレスチナ自治政府を「国家」として認める内容を盛り込んだ条約に最終合意し、近く「パレスチナ国家」との初の条約に調印すると明らかにした。国際的に国家として承認されることを求めるパレスチナを後押しする。イスラエルは反発する見通し。

参考:
http://www.asahi.com/articles/ASH5J64K4H5JUHBI01L.html
聖人にパレスチナ人を初認定 自治政府「和平の一助に」

ローマ=山尾有紀恵

2015年5月17日22時31分

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は17日、19世紀のパレスチナで活動した修道女2人をパレスチナ人(パレスチナ地方出身のアラブ人)として初めて、カトリックで最高の崇敬対象である「聖人」に認定した。法王庁は13日にパレスチナと国同士の協定を結ぶと決めたばかり。

また、米国のオバマ政権もこの世界的な動きに追随しつつある。これまでイスラエルと共にパレスチナ国家承認に反対してきた米国も、今となっては、強硬姿勢を続けるイスラエルには付き合いきれなくなっているのだ。

参考:
引用元:CNN
オバマ米大統領、イスラエルとの関係「見直し」伝える
2015.03.20 Fri posted at 13:02 JST

(CNN) 17日に投票が行われたイスラエルの総選挙に関連して、オバマ米大統領はネタニヤフ首相との電話会談で19日、同首相の挑発的な発言を受けて、米国はイスラエルとの関係を「見直す」ことになると伝えた。

この日の電話は公式には、ネタニヤフ首相の勝利に祝意を伝える目的だった。しかし米政府当局者によれば、ネタニヤフ首相が選挙運動の終盤、パレスチナ国家樹立に反対を表明したことを受けてオバマ大統領は、「2国家解決案に関する首相の新たな立場と発言を受け、我が国の選択肢を再検討する必要が生じた」と伝えたという。

これらのことは、ネタニヤフ首相にとっては相当のプレッシャーになったものと推測される。

実際、先日ネタニヤフ首相がパレスチナ国家樹立に反対の姿勢を示したことに対し米国のオバマ大統領が強く批判した数日後、ネタニヤフ首相は、凍結していたパレスチナ自治政府への税送金を凍結解除することを発表し、慌てて米国との関係修復を試みている。

参考:
引用元:産経
2015.3.28 01:00更新

イスラエル、パレスチナ税送金凍結を解除 米との関係修復を模索か

 イスラエル首相府は27日、パレスチナ自治政府への税送金の凍結を解除すると発表した。AP通信などが報じた。イスラエル側には、パレスチナ側への配慮を示すことで、冷え込んでいる米国との関係の修復につなげたい狙いもある可能性がある。

パレスチナ国家樹立の問題でイスラエルの唯一の味方だった米国がイスラエルから離れるということは、イスラエルの存続に確実に悪影響を及ぼすだろう。あのタイミングでネタニヤフ首相が態度を軟化させておかなければ、イスラエルという国はいよいよ世界地図から消滅する羽目になっていたかも知れない。

ところで、パレスチナ国家樹立でイスラエルが最も懸念しているのは、やはりイスラム過激派ハマスとパレスチナ自治政府との密接な関係だろう。昨年4月、パレスチナ主流派ファタハとハマスが統一暫定政権を樹立すると宣言したことは、イスラエルが此れまでにないほどの危機感をつのらせるのに十分すぎるイベントだったことだろう。

参考:
2014年4月24日木曜日
中東和平交渉:ファタハとハマスの統一で絶望的か。

だが此処に来て、ハマスのバックであるエジプトのモルシ“ムスリム同胞団”元大統領も、

参考:
2014年7月28日月曜日
ハマスが拡散する反イスラエル感情。

エジプトの裁判所から死刑相当の判断を下されている。それはつい先週のことである。

参考:
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150516/k10010082101000.html
エジプト裁判所 モルシ元大統領「死刑に相当」
5月16日 20時57分

エジプトの裁判所は、おととし事実上のクーデターによって大統領職を解任された、モルシ元大統領に対し、4年前、刑務所からの脱獄に関与した罪で「死刑に相当する」との判断を示しました。

“モルシ元大統領の死刑相当”の判断は、ハマスが後ろ盾を失っていることを象徴している。つまり、イスラエルにとっての最大の脅威は今まさに緩和されつつあるということだ。

パレスチナ自治政府が目下、ハマスを排除していることは、以下の引用記事からも伺える。

参考:
http://japanese.cri.cn/881/2015/04/21/162s235384.htm
パレスチナ自治政府とハマス、溝埋まらず対話中止
2015-04-21 11:40:56

 パレスチナ自治政府とイスラム原理主義組織・ハマスは20日、意見の隔たりが埋まらず対話を中止しました。自治政府側代表団は同日夜、ガザ地区を離れヨルダン川西岸に戻りました。

 自治政府の8人の閣僚および22人の政府要人からなるパレスチナ高級代表団はイスラエルを経由してガザ地区に入り、24日午前ガザを離れてヨルダン川西岸の都市ラマラに戻る計画でしたが、ハマスとの意見の隔たりが埋まらず急遽対話を中止し、直ちに戻る結果となりました。

 消息筋によりますと、ハマスはパレスチナ自治政府が打ち出した問題解決案を受け入れず、強硬な立場を示しました。また、ガザ入りした自治政府要人は、現地に設置されたオフィスに立ち入ることも人為的に阻止されたということです。

これまではハマスの存在こそがパレスチナ・イスラエル問題の最大の障壁だったわけだが、ハマスが求心力を失いつつある今、ようやくイスラエルにとっての懸念も払拭されようとしているのだ。

パレスチナ問題は近い将来、一気に解決に向う可能性が高そうである。

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