2013年10月28日月曜日

NSA盗聴問題:米国のモンロー主義回帰の口実。

https://surouninja.blogspot.com/2013/10/leak-of-eavesdropping-by-nsa-may-be-a-strategic-move-of-us-in-order-to-return-to-the-monroe-doctrine.html
此処のところ、同盟各国首脳らに対する米国家安全保障局(NSA)の盗聴問題で、世界中のマスコミが連日喧しい(かまびすしい)。


同盟各国は自らがNSAにより盗聴されていることを知ることが出来たのは、あの元CIA職員エドワード・スノーデンによるリークがあったからだと云われている。(米が外国指導者35人の通話盗聴、スノーデン氏文書で判明=報道 - ロイター 2013年 10月 25日 08:17 JST)

このスノーデン問題についてだが、若しかすると、我々は、米国が或る目的を達成するための“歌舞伎”を見せられているのではないだろうか。

抑々(そもそも)、スノーデンの行動を身内(CIA)が監視できなかったとは思えないし、もし本当に米政府がスノーデンの存在を煙たがっていたとすれば、米政府は何の証拠も残さずに彼をこの世から消すことさえ出来ただろう。CIAなら世界のマスコミを口封じすることも朝飯前な筈である。

では、この“歌舞伎”の目的は何かを考えてみると、それは、今世界で起きている、先進国(米ドル)への資金還流イベントから大方想像が付く。つまり、米国は今正に、再び“モンロー主義”政策を採らんとしているということである。その目的は無論、自国の輸入依存を減らす一方で輸出を増やし、自国経済を立て直すことにある。

もし米国がこの“歌舞伎”の演出無しにいきなりモンロー主義へと回帰しようものなら、同盟国は今以上に反発を強めていただろう(サウジアラビア:米国の“弱腰”中東外交に苛立つバンダル王子。2013年10月24日木曜日) だが、今回のように盗聴問題を世界中のマスコミに騒がせることで、米国はそれをモンロー主義へと回帰する“言い訳”にすることができるというわけである。

米国は今後、現在世界に散らばっている米国企業の工業製品を国内生産に切り替えて、TPPの枠組みを使ってそれら製品の輸出を増やす一方で、NATOなどの欧州向けの安全保障費用は削減して、その内の幾分かをアジア太平洋地域の安全保障へと振り向けるだろう。

こう考えると、最近ボーイングが787型機の生産を米国内生産に切り替えようとしていたり、米国が安全保障面で日本に自立を促している理由も分かるというものである。NATOのスタンスの変化も見逃せない。(NATO 非加盟国との共同の作戦や演習を増やす計画 - ロシアの声 10.10.2013, 17:58)

ただ、モンロー主義の弊害として、世界中で小規模紛争の常態化が懸念される。米国が“世界の警察”の役割を放棄することで(米大統領:「世界の警察官」否定 - 毎日新聞 2013年09月11日 13時16分)、新興勢力が世界の彼方此方で雨後の筍の如く湧いてくることが予想されるからである。まぁ、これは自然の摂理でもあるのだが。

今後、世界は再び混沌状態に陥るかも知れない。

とは言え、「これに連動して米ドル離れが進む」などということは決して無いと考えている。というのも、現実を見れば、米ドルに替わる世界通貨は今のところ存在していないし、世界の新興諸国ですらも米ドルを否定しないどころか、それを今尚欲している現状である。FRBが量的緩和のアクセルを少し緩めると発表したぐらいで、アジア通貨危機を思わせるような新興国通貨の急落があったことも記憶に新しい。(米国債金利(10年物)が2.83%に。米国への資金還流と通貨危機の前兆。2013年8月21日水曜日) また、米政府債務危機が毎度発生しても、ドルへの信任は相変わらず高いのもそれを象徴している。共産独裁国家で在りながら経済大国となった中国ですら、米ドル(米国債)有ってのものである。まぁ、米ドル基軸通貨体制の崩壊などという夢物語を信じる人々は、反米・陰謀論ビジネスにとっては大切なお客様なのだろうがね。

閑話休題、我々日本国民は、全ての外交は米政府の掌で転がされているという前提の下で、日本が今後進むべき道を冷静に考えるべきなのだろう。

NATO:「核の傘」支持根強く 豪の声明に賛同 - 毎日新聞 2013年10月22日 12時40分
 【ニューヨーク草野和彦】国連総会第1委員会(軍縮)で21日、「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」という同じタイトルの異なる声明が二つ、発表された。ニュージーランドが起草した声明は「核の不使用」を主張する一方で、オーストラリアが起草した声明はこの点に触れておらず、米国の「核の傘」の下にある北大西洋条約機構(NATO)の加盟国の多くが参加。安全保障政策で「核の抑止力」への支持が根強いことを浮き彫りにした。
 オーストラリア起草の声明に賛同した国は日本を含む18カ国。そのうち、NATO加盟国が14カ国を占めた。米国はベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコに射程500キロ以下の戦術核を推定で計150〜240発配備しているとされるが、このNATO加盟5カ国のすべてが、オーストラリアの声明に賛同した。

国連の「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」で、同盟諸国が「いかなる状況下でも(核を使用しない)」というニュージーランド提起の当初の文言を受け入れられなかったのも、本当は、米国のモンロー主義回帰の流れを受けてのことだったのかも知れない。つまり、今後は同盟諸国が自らの手(核)で自らの権益を防衛する必要性を考慮しなければならなくなったのではないか、ということである。

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