2014年5月4日日曜日

労働者が愛想を尽かした日本式雇用制度。

https://surouninja.blogspot.com/2014/05/japanese-style-employment-system-that-many-japanese-people-is-not-required.html?m=0
日本人材派遣協会アンケートによると、現在派遣社員として働く人で将来正社員を望んでいる人が半数にも満たないことがわかったようである。

派遣社員の半数「正社員望む」 実際の打診は18%どまり

2014/4/30 11:29
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG30015_Q4A430C1CR0000/

 派遣社員として働く人の48.3%が将来の働き方として正社員を望んでいることが業界団体の日本人材派遣協会のアンケートで分かった。一方で、派遣先企業から正社員採用を打診された経験がある人は18.1%にとどまり、本人が希望しても正社員化が進まない実態が浮き彫りになった。

この手の記事では、派遣労働者の殆どが恰も正社員になりたい人ばかりであるかのような書かれ方のものがしばしば見受けられるが、このアンケート結果を冷静に見れば正社員になりたい人はたったの半数以下しか居ないということである。

この結果から見えるのは、今や「正社員」というポジションが殆ど魅力的ではなくなっているということである。

終身雇用などという日本特有の幻想は、遂に日本でも消滅しつつあるのだ。モノやサービスが世界を駆け巡り、日本と世界のギャップも少しづつ埋まっている状況で、これは必然的な流れと謂えよう。

ひとつの会社に自らの時間と忠誠を捧げ続けるということは、従業員にとっては寧ろリスクでしかないのである。それは、自らのスキルアップやフレキシブルなライフスタイルを捨てることに等しいからである。

確かに正社員と派遣労働者の給料の違いをみれば、正社員の方が派遣労働者よりも数字上は良い場合が多いかもしれないが、正社員は年収を自分で調整できないという点で今の重税社会においてはかなり不利である。手取りを時給換算した時に、下手をすれば派遣労働者の方が時給が高くなるケースも多々あるだろう。

更に年金で見た場合も、今後の確定給付型年金のフェードアウトと確定拠出年金への移行により、正社員のメリットは完全に過去のものとなるだろう。今後は企業年金が確定拠出型へと移行が進み、従業員は皆、将来のリスクを自分で負い、将来のリターンも支払ってきた額に相応させるという、至極当たり前の通常スタイルになることが最早目に見えているからである。つまり、大企業の正社員だからといって特に年金面で得をするなどということも今後は無くなるのである。寧ろ上場している大企業ほど、企業年金を確定拠出型へと積極的に移行させるだろう。その理由は、今年度から導入された“退職給付会計基準”によるバランスシート悪化を防ぐためである。

参考:
2014年4月27日日曜日
年金減額:現実に戻される団塊世代。
2014年3月13日木曜日
年金:ナンセンス化する定年制度。

正社員と派遣労働者が全く同じ仕事をして、全く同じ勤務スタイルであるという前提であれば、正社員になる方が得かもしれない。だがそうでなければ、どっちであろうが然程待遇は変わらないだろう。寧ろ、ひとつの会社に変な忠誠心みたいなものを(勝手に)持たない分だけ、派遣労働者の方が気分的には楽かもしれない。

まぁそもそも、こういう社内階級分けみたいなもの自体が企業活動的にはナンセンスである。企業の目的は製品やサービスを売って利益を上げることなのだから、社内階級みたいなもので組織を硬直化させることはデメリットでしか無いだろう。しかも、正社員という“特権”に支払われる無駄な人件費が製品価格に跳ね返ってきているのだとすれば、それは消費者にとってもデメリットでしかない。労働自体が目的化してしまった社会主義国ならそれも許されるかも知れないが、その顛末は今は亡きソ連を見ても分かることである。

関連:
2014年1月13日月曜日
労組:宿主を食い破る愚か者。

労働なんてものは、もっと自由にシェアできるような、フレキシブルなものにすべきだと個人的には思っている。労働集約型産業の単純労働なんかは特にそうである。

現在の地方の主要産業の一つといえば“老人介護”だが、老人を一日中介護するのは精神的にも肉体的にも疲れる作業である。だからこそ、この業界の労働者はすぐに心身を患って辞めてしまうのだが、それは労働者の給与と時間を縛ってしまっていることも大きな原因であると考える。これを改善するには、例えば一日1時間づつでも、より多くの人に労働を手伝ってもらえるような形にすれば、労働者使い捨てではなくもっと持続可能な仕事にできるはずである。そうすれば、育児に忙しくて収入ゼロな専業主婦にも労働に参加してもらえるかもしれないし、彼女たちの生活の足しにもなるだろう。それに、一人の正社員が歯を食いしばりながらカネのために嫌々労働をするよりも、多くの労働者が労働(負担)を分かちあって心身健全な状態で労働してくれる方が、サービスを受ける側にとってもメリットはあるだろう。

そういう意味では、クラウドソーシングの考え方なんかは労使ともにメリットがあるものだと思っている。国と消費者に負担を強いる既得権ホルダー(労組)にとっては悪夢でしかないのかも知れないが、正社員という“特権階級”を守るための労組は、決して労働者を代表するものとは言えない。主役は決して彼らなどではなく、消費者と納税者なのである。労働者(手段)のために仕事(目的)があるのではなく、仕事(目的)のために労働者(手段)があるということを忘れてはならない。

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