また、GPIFのガバナンスにおいても、現在の「独立行政法人」の体制では積極的な運用が出来ないとの意見が多いことから、「認可法人」へ移行して複数理事による合議制で運用方針を決める案が示された様である。ちなみに現在は理事長の一任で運営方針が決定される仕組みとなっている。
国内債中心ポートフォリオ見直しを-GPIFなどで政府会議 - Bloomberg 2013/09/27 12:06 JST
9月27日(ブルームバーグ):政府は26日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )など合計200兆円を超える公的・準公的資金の運用・リスク管理の高度化に向けた改善策を議論する有識者会議(座長・伊藤隆敏東大大学院教授)を開き、中間論点整理をまとめた。国内債券が中心のポートフォリオは見直しが必要との見解でほぼ一致したほか、新たなリスク資産も運用対象に加えるべきだとの意見も出た。
ガバナンス(組織統治)改革では専門家の登用が最大の論点になると指摘。現在の理事長一任ではなく、常勤の専門家による合議体があり得ると述べた。
公的年金の運用独法、認可法人へ移行 政府会議案 - 日経新聞 2013/9/26 21:12
公的年金などの運用改革を議論する政府の有識者会議は26日会合を開き、論点整理案を公表した。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などを対象に、国内債券中心の運用を見直し、株式など比較的リスクの高い資産へ運用を拡大するために組織を改革する案を示した。GPIFを日銀のように認可法人に改めることを検討する。
会議ではGPIFが現在の独立行政法人の体制では積極的な運用ができないとの意見が多く、26日の論点整理では認可法人への移行案が示された。複数の理事を集めた合議制で運用指針を決め、実際の運用を執行する組織と役割を明確に分ける。
これがどういうことを意味するかというと、安倍政権は今正に日本の政治を官僚組織(中心は財務省)の呪縛から解放せんと試みているということである。
独立行政法人というのは、表向きは省庁から独立していることになっているが、実際には主務官庁が業務運営に介入する官僚組織その物なのである。職員に国家公務員の身分が残されていることからも、民間のフリをした官僚組織であることが分かるだろう。
安倍政権はその官僚組織の別働隊へとメスを入れようとしているのである。
独立行政法人の改革案 年内に - NHK 9月26日 16時53分
政府の行政改革推進会議は、独立行政法人の業務や組織の見直しを検討する分科会の初会合を開き、今後、個々の法人について、廃止や民営化することも含めて検討を進め、年内をめどに改革案を取りまとめることを決めました。
独立行政法人を巡っては、去年1月、当時の民主党政権が40近くを減らす方針を閣議決定しましたが、政権交代後にこの方針が凍結されています。
ブログ:増減税論の背後に見える主導権争い - ロイター 2013年 09月 26日 14:34 JST
安倍首相の腹のうちはぎりぎりまでわからない上、「官邸内でも、財務省と経済産業省出身者のせめぎあい写」(政権関係者)という状況。はっきりしているのは「従来のように財務省の言う通りでいいのかという雰囲気が強い」ということだという。
GPIFが独立行政法人のままなら、国内債券(主に国債)に偏重した運用から逃れられるはずが無い。何故なら、国債運用の比重を減らすということは即ち親分(財務省)に逆らうことを意味するからである。而(しか)も決定は全て理事長の一任なので、財務省から都合の良い人物を理事長に天下りさせて据え付ければ、財務省はGPIFの操縦権を完全に掌握することが出来るのである。その結果齎されたのが、起きるべくして起きた株価暴落という国民経済への損失である。国民経済が損失を被りデフレ社会が継続すればするほど、日本の役人天国も継続するわけである。
GPIFの運用ポートフォリオの問題の裏では、政治(官邸)と官僚組織(財務省)の熾烈な鬩ぎ合い(せめぎあい)が行われているのである。
官邸が勝つか、それとも財務省が逃げ切るのか。国民は今こそ安倍内閣の行動を注視し、評価すべき所は素直に評価すべきである。
【関連リンク】
2013年8月6日火曜日
GPIFに続き、KKR(国共済年金)も運用ポートフォリオのアロケーション変更を検討しているとのことだが。
http://surouninja.blogspot.jp/2013/08/gpifkkr.html
2013年7月17日水曜日
日米株への投資を増やしてアベノミクスに協力するGPIF。
http://surouninja.blogspot.jp/2013/07/gpif.html
2013年6月6日木曜日
先月(2013年5月23日)の株価暴落の主因はGPIFのリバランスだったとのことだが。
http://surouninja.blogspot.jp/2013/06/2013523gpif.html
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