シリアの化学兵器攻撃、軍が大統領の承認得ずに実行か=独紙 - ロイター 2013年 09月 9日 09:34 JST
[ベルリン 8日 ロイター] - 8日付の独日曜紙ビルト・アム・ゾンタークは、シリアの首都ダマスカス近郊で1400人以上が死亡したとされる化学兵器攻撃疑惑をめぐり、ドイツ情報機関筋の話として、政府軍がアサド大統領の承認を得ずに化学兵器を使用した可能性があると伝えた。
それによると、ドイツの情報機関が傍受した通信記録から、シリア軍の部隊責任者らが過去4カ月半の間、大統領府に対し化学兵器の使用許可を求めていたが、大統領府側は認めなかったことが分かったという。
同紙の報道から考えられるのは、米露“妥協案”の成立である。
米軍による単独軍事介入の可能性も濃厚となっている現在のシリア情勢だが、ロシア側もそろそろ事を先に進める必要が在るのだろう。事を先に進めると言うのは、詰まり、シリア戦争へのゴーサインである。
此のニュースにより、米国だけでなく、ロシアとしても軍事介入に参加し易くなるだろう。視点を「アサド政権との戦い」から、「暴走するシリア政府軍との戦い」に切り替えることで、米露が協調してシリアに軍事介入することが出来る様になるのだ。
米露両政府の背後に国際石油資本が居るとするならば、シリア情勢の顛末の最後には必ず“戦争”が来るだろう。低迷する天然ガス価格を上昇させるには、欧州に繋がるパイプライン周辺での紛争惹起が最も効果的だからである。此れは米英の石油メジャーのみならず、ロシア国営ガス会社のガスプロムにとっても非常に魅力の在る話であろう。
戦争には必ず「正義と悪」が必要となる。ロシアのプーチン大統領は反米の新興諸国に自らの正義を主張するし、米国のオバマ大統領は同盟国に自らの正義を主張するだろう。此の二つの相反する正義は、“戦争”という世界的公共事業を実施する上で必ず必要となる。残念ながら、多くの国民が思うような本当の正義など実際は何処にも存在しない。其処に在るのは、企業の利益追求行為だけである。戦争とは、投資家と消費者の欲望を満たすために行われる、余りにも冷徹且つ合理的な行為なのである。
【関連リンク】
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