此れに対しシリアのムアレム外相は提案を歓迎する姿勢を示している様だが、一方で米国のケリー国務長官は「アサドはそうしないだろう」と依然懐疑的である。
<シリア>化学兵器を国際監視下に 露外相が要請 - 毎日新聞 9月9日(月)23時41分配信
【モスクワ田中洋之】ロシアのラブロフ外相は9日、記者会見し、シリアのアサド政権に対し同国が保有する化学兵器を国際監視下に置くよう求めた。ケリー米国務長官が同日、シリアが来週までに化学兵器を放棄すれば攻撃を回避すると述べたことを受けたもので、軍事介入に反対するロシアがアサド政権の説得工作に乗り出した形だ。シリアのムアレム外相は提案を歓迎する立場を示した。ただ、アサド政権は化学兵器の保有を公式に認めておらず、実際に要請を受け入れるかどうかは不明だ。
ケリー長官は同日、訪問先のロンドンでヘイグ英外相と会談した後、記者会見し、米国によるシリア攻撃を回避するためには、アサド大統領が来週までに化学兵器を国際社会に引き渡す必要があるとの考えを示した。一方、長官は、「アサド(大統領)はそうしないだろう」と述べ、攻撃の必要性を訴えてもいた。
アサド大統領 米TVで警告 - NHK 9月10日 5時26分
アメリカがシリアに対し軍事行動の準備を進める中、シリアのアサド大統領は、アメリカのテレビ局のインタビューに応じ、「あらゆることを覚悟すべきだ」と述べ、アメリカが軍事行動に踏み切れば何らかの報復があるとの見方を示して強くけん制しました。
シリアでの化学兵器使用はアサド大統領の承認を得ずに政府軍が行ったと独紙。(2013年9月9日月曜日)
同紙の報道から考えられるのは、米露“妥協案”の成立である。
米軍による単独軍事介入の可能性も濃厚となっている現在のシリア情勢だが、ロシア側もそろそろ事を先に進める必要が在るのだろう。事を先に進めると言うのは、詰まり、シリア戦争へのゴーサインである。
此のニュースにより、米国だけでなく、ロシアとしても軍事介入に参加し易くなるだろう。視点を「アサド政権との戦い」から、「暴走するシリア政府軍との戦い」に切り替えることで、米露が協調してシリアに軍事介入することが出来る様になるのだ。
米露両政府の背後に国際石油資本が居るとするならば、シリア情勢の顛末の最後には必ず“戦争”が来るだろう。
若しも此処でシリアがロシアの提案を蹴れば、ロシアも米国と共闘してシリアで思う存分暴れるだろう。シリアよりも米国との関係の方が重要なのは、矢張りロシアも同じだからである。
今、米露は、成る可く世界が納得出来る形での“米露共闘”を計画していることだろう。
米国としてはさっさとアサド大統領を処分してシリアに親米政権を樹立させたいだろうが、ロシアとしては、「あれはシリア政府軍の暴走でした」ということにして、アサド大統領の政治生命だけは確保して次の政権に影響力を残しておきたい処であろう。まぁシリアがロシアの今回の提案を蹴れば後者の線は消えるだろうがね。
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